教育相談だより 5「相手の言葉の受け答えについて」


⌚令和3年10月20日投稿

 

  人の言葉には奥深い力があります。何気ない一言が相手を元気づけることもあれば、傷つけたり深い闇に突き落としてしまうようなこともあります。たとえば相手への返答の仕方によって会話がうまくいく場合と行き詰まる場合があります。皆さんは、次のような場面で、どのような返答をされますか。二回目の親の返答を考えて下の返答例から一番近いものを選んでみてください。深く考えず、直感で選んでください。

 

【親子の会話】

親:「そろそろ学校へ行く時間だけど、用意はできたの?」

子:「今日は頭が痛いから行きたくない。」

親:「              」

 

 (返答例)

     それぐらいで欠席しちゃいけません。さっさと行きなさい。

     スマホゲームばかりしているから頭が痛くなるのよ。

     学校で嫌なことでもあったのかな。

     そうか、頭が痛くて学校へ行きたくないのね。     

 

どうでしたか。私の子ども時代の親はきっと①です。これは厳格な子育てをモットーとされる親御さんに多く見られるようです。②はいわゆる決め込み・思い込みによる診断型の場合でしょうか。子どもにしてみると本当に頭が痛いのに、スマホゲームを引き合いに出して、勝手に決めつけられたことへの反感が生まれることにつながるかもしれません。③の場合は少し子どもに寄り添っていこうとする気持ちが感じられます。ただ頭痛の原因を学校で嫌なことがあったのかと詮索しようとする部分に子どもが警戒するかもしれません。④はいわゆるオウム返しのパターンです。相手の言葉を繰り返してあげることで相手の気持ちを鏡に映すように感じ取らせてあげるのです。特に頭痛の原因をさぐろうとすることもなく、相手の反応・返答を待つ姿勢です。

 

四つのうちのどれが正解というわけではありません。どの返答をするかによって相手の気持ちがどのように変化するかを理解しておくことで会話や相談が円滑になることに役立つのです。一つ言えるのは④のような共感的な返答をすることで相手の自己理解やお互いの気持ちの共有につながりやすくなると思います。もちろん④の返答の後すぐに子どもからの前向きな発言があることを期待してはいけません。ひょっとすると長い沈黙の時間が流れることもあります。心の引き出しの整理には人それぞれかかる時間が異なるのです。